2009 Fiscal Year Annual Research Report
Project/Area Number |
20530812
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Research Institution | Joetsu University of Education |
Principal Investigator |
茨木 智志 Joetsu University of Education, 大学院・学校教育研究科, 准教授 (30324023)
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Keywords | 世界史教育 / 世界史教育史 / 歴史教育史 / 社会科教育史 / 戦後教育改革 / 高校社会科 |
Research Abstract |
本研究の目的は、戦後教育改革期において成立した世界史教育がいかなるものであったのかを総合的に解明することにある。具体的には、新制高校で実施された世界史について多方面から分析することで、世界史教育が成立期に持っていた原点を明らかにする。これにより、世界史教育の意義を再確認するとともに、これからの世界史教育を検討するための共通認識の形成を目指している。 上記目的を達成するため、研究第二年目においては次のようなことに取り組んだ。第一に、世界史教育についての教育行政的施策に関わる決定過程の研究を進めた。特に、世界史を含めた高校教科課程改訂作業、初期の世界史教科書検定基準、世界史教科書検定に対する資料収集と分析を進め、その成果の一端を報告した。第二に、世界史科目設置の意義や戦後の社会科教育での世界史教育の意味について、現時点での知見を報告し、歴史研究そして社会科教育研究からの批判を仰いだ。第三に、当時の教師や生徒の方々へのインタビュー等の調査を継続した。その中で世界史実施当初から授業を担当された人物へのインタビューや当時の歴史教科書に関わるカトリック教会の活動についてのインタビューを行ない、その一部を整理して報告した。第四に、世界史授業に関わる諸資料、世界史に関わる入学試験の情報、当時の世界史教育と世界史研究をめぐる論議に関する諸資料の収集と分析を継続した。その他に、世界史教育の地域的な展開に関する情報、内外の世界史教育の現状等の把握に努めた。 ただし、成立過程における世界史教育の特殊性のために、世界史設置の決定過程は現時点でも不明確な部分が多く、また授業や教科書等の実際についてもなお不明な点が多い。次年度の研究の課題としたい。
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