2010 Fiscal Year Annual Research Report
読解力を育む中等歴史カリキュラムの開発と評価モデル構築に関する研究
Project/Area Number |
20530820
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Research Institution | Hyogo University of Teacher Education |
Principal Investigator |
原田 智仁 兵庫教育大学, 学校教育研究科, 教授 (90228651)
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Keywords | 読解力 / 中等歴史カリキュラム / 高校日本史B / 史料読解 |
Research Abstract |
まず平成20~21年度の英米調査等で入手した諸資料を精査し、歴史の読解力の概念を<歴史知識(事実的知識と概念的知識)+探究技能(社会科の技能と歴史の技能)>と定義した。その上で、歴史の読解力育成の論理を、米国スタンフォード大学のS.ワインバーグのスキャフォールディング・モデルに依拠して定式化し、全国社会科教育学会でその成果を発表した。 また、海外調査と並行して進めてきた先行歴史授業の分析の視点と方法を踏まえ、兵庫県立高校のスーパー・ティーチャーの一人の実践を分析し、歴史の読解力を育む学習指導法と課題を明らかにした。その成果は社会系教科教育学会の機関誌に投稿し、査読の結果、掲載が認められた。 この他、兵庫教育大学の外国人研究者の短期招聘事業で来日した米国タウソン大学T.ケンライ准教授との議論を通して、歴史の読解力の育成と評価に関する米国社会科教育の現状を整理することができた。 これらを総合して、3年間の研究成果報告書をとりまとめた。その基本原理を、(1)授業形態、(2)主要教材、(3)学習活動、(4)評価法、の4点について簡潔に述べれば以下のようになる。 (1)教師は発問を通して生徒の説明を促し、生徒は相互の議論を軸に読解を深める授業を展開する。 (2)教材は史資料の読解・解釈を主としながら、教科書の叙述の文脈にも着目させる。 (3)作業的・体験的活動を取り入れるとともに、読解の結果をノートやワークシートに記述させる。 (4)単元毎の診断テストとともに、ワークシートの内容や発表等のパフォーマンス評価を活用する。 なお、読解力の評価については基本要件の考察にとどまった。評価モデルの構築が今後の課題である。
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