Research Abstract |
本年度は,これまでに開発した郷土人物に関する教育内容,具体的には,川村修就,良寛,北一輝,田中角栄などに関する教材と指導案を,附属学校などで実験的に実施して,それらの有効性を検証した。また,学部や大学院の講義や演習,教員研修の場などを通じて,開発した教育内容と教材,指導案の特色と意義の周知に努めるとともに,新指導要領における教育内容構成の中での位置づけを検討した。 さらに,当初の研究計画に加えて,古代史においても郷土史の教育内容開発研究を行った.具体的には,新潟の独特の縄文式土器である火炎土器(馬高式土器)を作成した古代の人々の心性について環境史の側面から考えさせる授業開発を行った。温暖化が進んだ縄文時代中期の東日本では,豊富な魚介類,木の実,小型動物の採集や狩猟が容易であったため,人口が約2万人から26万人に増加し,一各地で定住生活を行うようになった。そのため,東日本の各地では,集団への帰属意識を高め,他集団との差異を顕示するために,凝った道具として多様な火炎土器がつくられたのではないかとする歴史理論を中核とした授業開発を行った。この授業についても,附属新潟中学校で実験授業を実施し,その有効性を検証した。
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