Research Abstract |
平成22年度は,公開授業研究会を実施している公立小学校および国立大学附属小学校を訪問し,授業を直接観察,記録した。主な訪問校は,第48回全国小学校社会科研究協議会研究大会徳島大会の会場校と香川大学の附属小学校である。それらの授業実践を分析したうえで,歴史学習の類型化を図った。また,現地調査を踏まえた教材研究を進め,再現可能な授業モデルを開発した。その際,富山大学人間発達科学部附属小学校教諭の松浦を研究協力者として4年生を対象とした歴史学習の単元「富山の町と神通川」を共同で開発した。「都市とは何か」「発展する都市と衰退する都市ができるのは,なぜか」こういったテーマのもと,内容を編成した。現代社会は都市社会である。多くの人口が都市に集中し,人々は生活を営み,社会を発展させている。現代社会を理解するための歴史学習であるという考えのもと,テーマを設定した。さて,単元開発に当たっては,一つのテーマのもと,構想した内容について,前半を小学校で,後半を中学校で扱うこととした。すなわち,小学校と中学校の歴史学習で,同じ内容を2回扱うのではなく,因果関係を連続・発展して扱うのである。そうすると,子どもたちは,自説を吟味・検討しながら成長を実感できる。そこで,同附属中学校教諭の山田にも研究協力者として,中学校歴史的分野の単元を共同で開発してもらうこととした。開発した単元は,「産業・交通の発達と都市の発展」である。また,岡崎は,同附属小学校において,6年生を対象とした教材研究のもと授業を実践し,検証していった。すなわち,近代化をテーマとした単元「明治維新」を開発し,平成22年10月に同志社大学にて開催された全国社会科教育学会において発表した。さらに,同じ近代化をテーマとした中学校歴史的分野の単元「開国と近代日本の歩み」を富山市立藤ノ木中学校の講神勝己教諭と共同で開発した。そうして,小学校中学年と高学年,さらに中学生という発達段階の違いに応じた授業モデルを開発したのである。
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