2009 Fiscal Year Annual Research Report
日本舞踊を教材とした「日本の伝統・文化」の理解教育に関する教員研修プログラム開発
Project/Area Number |
20530855
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Research Institution | Kobe Shinwa Women's University |
Principal Investigator |
畑野 裕子 Kobe Shinwa Women's University, 発達教育学部, 教授 (80167585)
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Keywords | 日本の伝統・文化 / 日本舞踊 / 教員研修プログラム |
Research Abstract |
本研究は、国際社会に生きる日本人として、多様な文化を尊重できる態度や資質を育む教育を推進するための教員の資質・能力の形成を目指して、「日本の伝統・文化」の理解教育を推進する教員研修プログラムについて、日本舞踊を教材とした試案を作成し、実践的に検証を試みるものである。 まず、初年度に「日本の伝統・文化」や日本舞踊に関連する実践・研究資料を収集し、近年注目を浴びている高額な機器装置であるモーションキャプチャーを用いた工学的な動作解析を応用すれば、日本舞踊の基本動作の分析が可能であるという示唆を得た。しかし、本研究では、その目的が学校教育における教材を中心にしていることから、工学的分析というよりはむしろ、教育的な見地から、知識・理解を深めるための所作資料の追加が必要と考えた。 そこで本年度は、日本舞踊の基本的な所作を取り上げ、熟練者を対象として、動作の運動学的なメカニズムを検討することとした。具体的には、動作のフォーム観察のため、動作解析LANカメラシステムを用いて、被験者の計測部位にマーカーを貼り付け、被験者の前方と左右側方より撮影・記録し、そのビデオ画像のフレーム毎の動作を3次元解析して、動作情報の収集を行った。 その結果、まず日本舞踊の基本的な所作である「お辞儀、蹲踞」では、腹部の屈曲によりマーカーの可視範囲が限定され、今回の解析装置・方法では十分な情報が得られなかった。一方、同じく日本舞踊の基本的な所作である「足の運び」(女歩き)に、上半身の振りを伴う簡単な身体動作を観察したところ、計測部位などによるスティックピクチャー、重心位置、関節角度や速度などの動作分析が可能であった。その特徴として、動作のぶれが少なく、重心を低く保った「腰を入れる」動作に依拠していることが明らかになった。以上の結果は、日本舞踊を教材とする試案作成に生かされるものと期待される。
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