2010 Fiscal Year Annual Research Report
「ゆさぶり」と「討議」による道徳授業の実践モデル開発に関する研究
Project/Area Number |
20530861
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Research Institution | University of the Ryukyus |
Principal Investigator |
上地 完治 琉球大学, 教育学部, 准教授 (50304374)
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Keywords | 道徳教育 / モラルジレンマ / 討議 / ゆさぶり / 合意 / 可謬主義 / 社会構成主義 |
Research Abstract |
研究の最終年度に当たる平成22年度には、理論面では「ゆさぶり」と「討議」による道徳授業の基盤となる考え方をまとめ、日本教育学会で発表し、有意義な議論をおこなうことができた。その議論の中で、今後の理論的課題として次の3点が明確になった。(1)徳論や共同体主義が主張する、個人的な徳(価値観)や共同体の文化や伝統を、本研究でどのように取り扱うか、(2)学びを「実践への参加による学び」と捉える論点と、認知的学びが主となっている本研究の道徳学習の関連について、前者のもつ利点をどのように取り込むことができるのか、(3)合意をめざすことと社会構成主義との論理的整合性について、どのように調整することができるのか。なお、こうした内容を、『琉球大学教育学部紀要』第79集(2011年10月刊行予定)へ投稿する予定である。 実践面では前年度の反省を元にさらに実践的な振り返りを深化させた。具体的には、「話し合い」を展開するために、次のようなステップを想定することが有効であることが明らかとなった。(1)自分の意見を素直に言えるようにする段階。発言することへの抵抗感を取り除く。(2)根拠に基づいて自分の意見を述べるようにする段階。自分の意見を何となく話したり、感覚的に意見を述べている子どもに対する指導が必要。(3)話し合いの質を高める段階。子どもたちが提示する論点は様々で、それを発表するだけでは論点や意見の羅列で終わってしまう。そうならないためにも、教師が論点の整理をおこなったり、授業のねらいとも照らして、どのような論点で議論を深めていくか取捨選択をおこない、子どもたちの意見を材料にして議論を構築していく視点と技能が必要となる。
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Research Products
(1 results)