2008 Fiscal Year Annual Research Report
バイオマーカーを用いた病弱児におけるストレス評価に関する研究
Project/Area Number |
20530875
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Research Institution | University of Tsukuba |
Principal Investigator |
竹田 一則 University of Tsukuba, 大学院・人間総合科学研究科, 教授 (90261768)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
山口 昌樹 岩手大学, 工学部, 教授 (50272638)
福島 敬 筑波大学, 大学院・人間総合科学研究科, 講師 (30323299)
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Keywords | 病弱児 / ストレス / 唾液バイオマーカー / 唾液アミラーゼ活性値 / 医療処置 |
Research Abstract |
平成20年度は,入院治療中の小児がん患児を対象とし,骨髄穿刺,髄腔内注入等の侵襲的な医療処置に際する唾液アミラーゼ活性値の変動を測定し,小児がん患児における身体的,精神的ストレス(distress)の指標としての唾液バイオマーカーの有用性を明らかにすることを目的とした。 本研究の結果、以下の5点を明らかにすることができた。1.小児がん患児の医療処置に際し唾液アミラーゼ活性値の有意な上昇が認められた。2。急性distress時の唾液アミラーゼ活性値は心拍数と相関し,交感神経系の活動亢進と密接に関連していた。3.小児がん患児における唾液アミラーゼ活性値の上昇の程度は,患児の不安や身体的苦痛の程度の違いを反映した。4.小児がん患児における侵襲的な医療処置に際する唾液アミラーゼ活性値は,明らかなdistress行動としては表出されず客観的な把握が困難な患児のdistress状態を反映した。5.唾液アミラーゼ活性値は患児の身体的・精神的ストレス(distress)を鋭敏に反映し,また,非侵襲的・簡便な測定が可能であるため,医療処置を受ける小児ぶん患児の急性ストレスの評価においては,有用性の高い指標であった。 本研究で得られた結果は,病弱児に対する心理的介入や病弱教育の評価,および医療管理等における活用が期待でき,病弱児のQOLの向上に資するものと考えられた。
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