2010 Fiscal Year Annual Research Report
重度・重複障害児の認知発達を促すポジショニングの開発
Project/Area Number |
20530876
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Research Institution | University of Tsukuba |
Principal Investigator |
川間 健之介 筑波大学, 大学院・人間総合科学研究科, 教授 (20195142)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
佐島 毅 筑波大学, 大学院・人間総合科学研究科, 准教授 (20241763)
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Keywords | 重度・重複障害児 / ポジショニング / 姿勢 / 腹臥位 / キャスパーアプローチ / リラクゼーション / 教材教具 |
Research Abstract |
重度重複障害児の授業における腹臥位の活用:6名に腹臥位マットをウレタンを形成してフィッティングを行い、それまでの車いす姿勢と比較した。その結果、どの事例も、車いす姿勢での活動よりも腹臥位姿勢での活動の方が、上肢・体幹を中心として筋緊張が緩み、脱力していた。腹臥位姿勢をとることで、呼吸の確保や股関節への負担の軽減、側彎のある脊柱に受ける重力の分散が実現するため、身体的負担を軽減させるリラクゼーションの効果があることが検証できた。リラクゼーションに加えて、視覚探索や上肢の操作などの学習も目的とした事例1・2・3・4に関して、腹臥位姿勢にすることで、視空間と上肢の操作空間が一致しやすくなり、その空間の中に教材教具を提示することが容易になった。これらのことから腹臥位姿勢は、教材教具の提示位置の工夫のしやすさと、リラクゼーションとの二つの効果により、主体的な視覚探索と能動的な上肢の使用、及びそれらの協応が促されるポジショニングであるといえる。 学習環境におけるキャスパーアプローチの適用:1事例を対象に、授業中の児童の車いす姿勢とキャスパーアプローチによる車いす姿勢を、教材の見方や上肢の操作性について比較した。対象児は、それまでの車いすに座っていたときには体幹が常に屈曲した二つ折れの姿勢で頭部を正中位に保持させるために後頚部を過剰に伸展させ、顎を突き出すようにして体幹を起こそうとしていた。その背景には下部体幹の低緊張からくる体幹部の支持性低下があり、頭部の重さを十分に支持できないままに頚部の運動を行っていたと考えられた。キャスパーアプローチによって頭部はほとんどの時間、正中位で保持され、後頚部を過剰に伸展させる必要がなくなった。姿勢が安定し、頭部を上下、左右に動かすことは自由にできるようになったため授業に参加しやすくなった。
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Research Products
(3 results)