2008 Fiscal Year Annual Research Report
手話環境下の人工内耳装用児の聴覚情報処理を促進するための教育支援プログラムの開発
Project/Area Number |
20530891
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Research Institution | Ehime University |
Principal Investigator |
高橋 信雄 Ehime University, 教育学部, 教授 (70132719)
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Keywords | 人工内耳 / 聴覚障害幼児 / 特別支援教育 / 指導プログラム / 手指利用 / リハビリテーション |
Research Abstract |
1、公立学校の手話利用状況下における人工内耳装用児の教育的環境の現状を把握する:公立小中学校に学ぶ4名全員が難聴学級に在籍し、教室では手話を併用する環境下にあった。また、自立活動の時間は、言語学習が先行し、聴覚活用に係わる時間は特にないことが明らかとなった。一方、県外では小学校での会話トレーニングなども取り組んでいる学校もあった。 2、手話環境下における人工内耳装用時の課題を整理する:手話環境下では、何となく通じていて、いつも情報をもらうことに慣れてしまっている子どもの像がある。装用児の年齢や発達の時期によって抱える聴覚課題を、以下のように2分した。(1)小学校期の子どもの場合、相手の話を聞き落とした時の修復技法を習得することで、相手との会話から必要な情報を取り込む手だてを修得させる会話トレーニングを体系的に行うことにより、主体的に情報取得をする心構えを構築する。また、乳幼児期の場合は、(2)乳幼児のコミュニケーションの成立過程より、通常の聴覚活用は、コミュニケーションが成立する経過の中で開発されてくるように思われる。そこで、音韻情報習得前にコミュニケーションの成立を先行した取り組みを行う。(3)その中で、聴覚活用の基本となる「音遊び会」を開催し、経過観察をしていく中で人工内耳装用乳幼児の聴覚発達が、興味関心を誘う楽しさを基盤としたコミュニケーション活動を基盤としていることと思われた。 3、人工内耳装用児の聴覚情報処理を進めるための必要条件とて、コミュニケーションの成立が前提であり、周囲の係わり方はそれらを促進する要因となるようであった。さらに、これらの手がかりをより詳細に検討することとする。
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