2010 Fiscal Year Annual Research Report
理科授業で学習困難と才能を示す中学生への特別支援の方策に関する研究
Project/Area Number |
20530895
|
Research Institution | Kansai University |
Principal Investigator |
松村 暢隆 関西大学, 文学部, 教授 (70157353)
|
Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
隅田 学 愛媛大学, 教育学部, 准教授 (50315347)
|
Keywords | 特別支援教育 / 学習困難 / 才能 / 理科教育 / 認知的個性 |
Research Abstract |
生徒個人の才能(得意)や学習困難(苦手)、興味、スタイル等を「認知的個性」という新たな包括的概念で捉え、理科授業に表れる認知的個性とそれを活かす個性化教育実践の基礎的手がかりを、中学校通常学級や特別支援教室、特別支援学校等で探求した。1.中学校の異学年合同の総合学習で、理科分野等の自由課題設定学習において、小人数集団で生徒の得意を活かし苦手を補うために、MI(多重知能)の自己評定チェックリストを開発、活用方法を実践的に試行して、学習集団編成に有効なことが確かめられた。2.理科授業で才能を示す中学生の情緒・社会性の苦手な側面の把握と対処について、フィリピンの中学生を対象に調査・分析を行い、特定教科の取り出し授業の有効性が提案された。また理科の才能ある中学生対象の理科授業を開発し、フィリピン及び松山市の中学校で実践された。3.学習困難を示す発達障害児の得意を活かす個性化教育実践開発のため、特別支援学級で、興味・関心に基づく実験・観察を中心とする授業を行った。まずMI自己評価チェックリストを開発して生徒の認知的個性を把握した。学習障害児の普段の磁石への興味を活かして、磁石に関する学習活動を導入したところ、興味の高まりや意欲的な学習行動が見られた。4.特別支援学校中学部で、認知的個性としての得意や興味を、MIや「課題への傾倒」の観点から捉え、指導に活かす取り組みを行った。課題への集中時間を測定指標として用いることが有効で、認められた得意や興味を活用する学習活動に取り組ませることができた。5.そもそも才能と障害を併せもつ「2E」に該当する可能性がある子どもが、わが国ではどの位の割合で存在するかについて基礎的データを得るために、大学附属病院で発達障害と診断された子どもの知能検査の下位検査プロフィール等の結果について分析し、能力の顕著な乖離に検討を加えた。
|
Research Products
(5 results)