2009 Fiscal Year Annual Research Report
Project/Area Number |
20530897
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Research Institution | Shokei Women's Junior College |
Principal Investigator |
岩倉 政城 Shokei Women's Junior College, 保育科, 教授 (90005067)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
小松 秀茂 尚絅学院大学女子短期大学部, 教授 (30162051)
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Keywords | 虐待 / 早期発見 / 予兆 / 質問票 / 母子保健事業 / コホート / パートナー調査 / 回収率 |
Research Abstract |
乳幼児への虐待は全国児童相談所での対応件数でも2008年に4万2662件と、増加の一途である。特に0歳児の虐待と死亡が特徴で、死亡例の5割を占めることが厚労省調査で明らかである。虐待予兆の早期発見と対策を構築するに当たり、保育所、学校など、子どもの社会参加の始まる場でなら保育士、教師などを通して虐待事例の発見が可能になるが、未就園の乳幼児を全数補足する機会は自治体母子保健事業に連動することが最善である。そこで自治体の母子手帳交付時から3歳児健診までの定期悉皆健診の機会に質問票による調査を母とそのパートナーについてコホート調査を行い、どのケースに虐待がおこるのか、また質問票のどの項目が虐待の予兆検出に有用かを解明する調査を開始した。まず虐待予兆の早期発見に資する質問項目の検討を英国が虐待防止のために保健師を前面に取り組んだ経験を報告したD.Kevinらが提唱する「子どもを取り巻く養育のトライアングルを下敷きに、対象自治体の保健師等現場スタッフとの討議を経て指摘された「養育者の自己肯定感」を加え、母用38項目、パートナー用15項目の質問票を作成した。対象児の加齢に伴って最大で母用47項目、パートナー用21項目の質問構成とし、母子手帳交付時を起点に2カ月児訪問、4カ月時健診、1歳6か月児健診、3歳児健診の5回にわたる10種類の質問票を作成した。質問紙の解析を部分的に行っているが手帳交付時質問票は妊婦本人が大部分役所窓口に来所するため回収率は88.9%と高い値であった。一方、パートナーは55.3%であった。郵送法で行った「こんにちは赤ちゃん」、「1歳児」、「1歳6か月児」の回収率30-40%台に低下した。「3歳児健診」では受診時持参で57.3%と回収率の増加があったが、パートナーの回収率は48.2%に止まった。悉皆健診といえども回収率で見れば、虐待予兆の発見に依然として遺漏が起こりうることが示唆され、回収率改善に向けて更なる工夫が必要となった。
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