2011 Fiscal Year Annual Research Report
Project/Area Number |
20530897
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Research Institution | Shokei Gakuin College |
Principal Investigator |
岩倉 政城 尚絅学院大学, 総合人間科学部, 教授 (90005067)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
小松 秀茂 尚絅学院大学, 総合人間科学部, 教授 (30162051)
安田 勉 尚絅学院大学, 総合人間科学部, 教授 (60315562)
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Keywords | 虐待 / 早期発見 / 質問票 / 母子保健事業 / しつけ / 時系列変化 |
Research Abstract |
乳幼児への虐待は急増し、児童相談所への虐待通告が学校、保育所等から寄せられている。しかし虐待死亡年齢は、0歳で全死亡の50%、4歳までに80%を占め(厚労省調査)低年齢側への著しい偏りがある。このことから出生後早期に虐待予兆を発見し、予防策を講じる必要性がある。一方、0~2歳の85%、6歳以下の50%が未就園(内閣府調査)で、保育所・幼稚園での乳幼児虐待把握はその過半が漏れてしまう。 しかし本邦では自治体母子保健事業が悉皆受診で施行される点に着目し、これと連動して母とパートナーに質問票調査を行い、虐待の予兆の早期に発見するシステムを開発してきた。質問票配付は2009年1月で2012年3月まで行い順次回収してきた。質問票結果で特記すべきものは「しつけのためなら子どもを叩いてよい」に「そう思う・どちらかというとそう思う」の回答が母・パートナー共に半数を超え、これが子の出生以前の母子手帳交付時から3歳児健康診査に至るまで一貫して過半数を超したまま推移することであった。また出産以降では経済的な心配が半数を超え、「子育ての不安を話す育児仲間がいますか」が出産を機に減少し、出産直後には「子育てがつらくてつい泣いてしまう」が55.6%と高い値を示した。このつらさは、子どもが1歳になると14.4%に軽減され、出産直後に経済的にも心理的にも多くめ困難に直面していることが判明した。また、パートナーでは出産後の禁煙などの親としての自覚も見られる一方、「子どもの頃のあなたと、あなたの親との関係は次のどれですか」に「つらい・どちらかというとつらい」と回答した割合が出生前13.9%から出生後5.6%に減じ、1歳で23.3%と増加していた。子どもが1歳に成長することで否応なく親として振る舞う過程で幼少期の体験がフラッシュバックするのか、母と違った挙動を見せるパートナーの変化を勘案しながら虐待予兆の有効な判断基準の作成を急ぎたい。
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