2009 Fiscal Year Annual Research Report
15世紀以降のヨーロッパの地域統合におけるネーデルラントの中心性
Project/Area Number |
20539002
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Research Institution | Kobe University |
Principal Investigator |
奥西 孝至 Kobe University, 経済学研究科, 教授 (20211815)
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Keywords | ネーデルラント / 地域統合 / 中心性 / 15世紀 / 価格 |
Research Abstract |
15世紀以降のヨーロッパの地域統合において中心的地域として重要な位置を占めたネーデルラント(現ベルギー及びオランダ)の中心性を明らかにするために、本年度においては、特に当初の第2の研究テーマとしてあげたネーデルラント内における穀物価格にみられる広域流通する穀物が消費される中心的都市と周辺の中小都市の間の価格動向の差異、価格決定メカニズムが異なる多元的流通構造を有する穀物と単一的流通構造をもつ特産財などの他の財の価格動向の差異についての研究を中心に行い、価格分析および制度分析により明らかになった15世紀フランデレンの穀物流通拠点であったヘントの中心機能の変化について、穀物流通におけて、ステープル(集積地)として発達した穀物流通拠点でのセグメント性を非商業的供給が存在することによる流通の安定性およびそれ自体の需要の大きさが、ゲートウェイとしての流通における分散機能を発達させる上で重要であるとする研究成果をもとに9月に3週間滞在したユトレヒト大学での研究会で報告したほか、英語論文を1本刊行した。さらに、年度終了後の4月13日のベルギー・ヘント大学におけるヨーロッパ経済社会史学会でのワークショップでは、当該年度の第1の研究テーマとしてあげた中心都市における広域流通にたずさわる商人間取引の場としての取引所の成立によるネーデルラントの多元的穀物流通の構造的変化がヨーロッパ全体の流通に与えた影響についてとの関連を明らかにしながら本年度の研究成果を報告する予定である。また、最終年度の3月にブリュッセルで行うシンポジウムに向けた準備をベルギー、オランダの研究協力者とともに進めている。
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