2010 Fiscal Year Annual Research Report
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20539003
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| Research Institution | Bunkyo Gakuin University |
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Principal Investigator |
高橋 周 文京学院大学, 経営学部, 助教 (10339731)
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| Keywords | 肥料 / 依頼分析 / 農事試験場 / 新規参入 / 市場の質 |
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| Research Abstract |
本年の研究は、前年までに行った分析をもとに、これを論文としてまとめ、学術雑誌に掲載して広く問うことにあてている。そこで、新たな資料によって論を補強するために、資料調査を行いその発見・分析を必要とした。また、本研究の成果をさらに肥料史全体の中における様々な発展を期すために、これに関連する事実の発見にもつとめた。22年度において、具体的にまとめられた学術論文は後継する2点、すなわち「明治後半における不正肥料問題新規参入の信頼獲得と農事試験場」(『社会経済史学』76巻3号)および「依頼分析制度と化学肥料の登場」(文京学院大学『経営論集』20巻1号)である。前者は依頼分析制度が新規参入の肥料や業者によって多く利用され、さらにその結果がそれらの肥料市場への定着を促し、肥料市場における需給逼迫を解消させるのに貢献したことを論じた。後者は新しい肥料の中でも化学肥料に焦点をあて、その市場への定着に依頼分析制度が果たした役割を論じている。これらの論考から、本研究では在来市場での新しい財の普及とその担い手である新規参入者の成功において、公的機関の果たした役割を明らかにした。すなわち、需要の拡大に対する供給の対応が新たな財の参入を含む場合、その需要を満たして経済活動が円滑に行われるために、本研究で分析した農事試験場の依頼分析制度のような存在が、これをサポートしていたのである。このことは、旺盛な民間の活動に対する公的機関の関与について、新たな知見を提供するものである。
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