2010 Fiscal Year Annual Research Report
Project/Area Number |
20540016
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Research Institution | Osaka University |
Principal Investigator |
尾角 正人 大阪大学, 基礎工学研究科, 准教授 (70221843)
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Keywords | 可積分系 / 量子群 / ヤン・バクスター方程式 |
Research Abstract |
交付申請書「研究の目的」欄の(i)については、昨年度の研究によって解決しているので、当該年度は(ii)非例外型量子アフィン代数に対し、KR加群の結晶基底を使って定義される"1次元状態和"と呼ばれる多項式が"フェルミ公式"とよばれるものと一致することの証明に重点的に取り組んだ。海外共同研究者であるLecouveyとShimozonoとの昨年度の研究で、アフィンリー環のランクが十分に大きいとき、A型以外の非例外型KRクリスタルから定義される1次元状態和が、A型のものとリトルウッド・リチャードソン係数の積の和で書けるという"X=K"予想を証明したので、フェルミ公式の方でも同じ関係式を示すことができれば、A型で既に得られている"X=M"定理を用いることによって(ii)を解決することができることになる。この方針のもと連携研究者の坂本氏とともに、この関係式を導く組合せ論的な対応を定義し、その対応が統計量を保存する全単射であることを証明した。この結果は、8月にインドのバンガロールで開催されたICMサテライトコンファレンス"Algebraic and Combinatorial Approaches to Representation Theory"にて発表した。論文は投稿中である。坂本氏とはさらに、ランクが十分大きいという仮定をはずした場合の(ii)の証明について検討を続けている。 また当初の計画のとおり、6月14日から16日まで海外からも研究者を招聘し研究会「量子可積分系の展開」を主催者の一人として開催した。この研究会でも上記研究課題について発表し、また多くの研究者と研究交流することができた。
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