2009 Fiscal Year Annual Research Report
Project/Area Number |
20540027
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Research Institution | Nihon University |
Principal Investigator |
野田 工 Nihon University, 工学部, 准教授 (10350034)
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Keywords | Eisenstein級数 / ゼータ関数 / L-関数 / 漸近展開 / 多重ゼータ関数 / 多重Eisenstein級数 |
Research Abstract |
1.実解析的Eisenstein級数の上半平面虚軸方向に関する完全漸近展開を報告した。証明ではRama nujan級数とMaass作用素を用いている。この漸近展開式から固有関数等式,Fourier級数展開,極の位置,Kronecker極限公式,特殊値の表示,正則Eisenstein級数のLambert級数表示などの別証明が得られる。主結果はMaassによる先駆的結果(1960年代)にも符合するものである。また複素パラメーターに関する漸近展開式も併せて報告した。 2.Lipschitzの公式の一般化(二重化)に成功した。証明はPoissonの和公式を用いるものではなく,ある種のMellin逆変換型(Barnes型)の積分変換公式を援用するものである。さらに,この結果を用いてある種のdouble-Eisenstein級数の変換公式を証明した。 我々のLipschitz-type公式は一変数の場合を自然な形で含んでいて,double-Eisenstein級数の変換公式は正則Eisenstein級数のFourier級数展開の拡張であると考えられる。変換公式には合流型超幾何関数が現れるため,実解析的Eisenstein級数のFourier級数展開との密接な関係が観測できる。この事実は,この方向での研究の正当性を支持している。現在さらなる一般の場合の証明が完成しつつあり,より広範囲の多重Eisenstein級数に対する応用が期待される。
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