2008 Fiscal Year Annual Research Report
代数群上の保型形式をめぐって:数論的不変量と保型L関数
Project/Area Number |
20540031
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Research Institution | Kyoto Sangyo University |
Principal Investigator |
村瀬 篤 Kyoto Sangyo University, 理学部, 教授 (40157772)
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Keywords | 保型形式 / ジーゲル・テータ級数 / ヒルベルトモジュラー形式 / Borcherds積 / ヘッケ作用素 / 代数群 |
Research Abstract |
B.Heim氏(マックスプランク研究所)との共同研究において、次のような結果を得た。第一に、符号(2,m)の直交群上の保型形式のうち、Maass関係式を満たすものは、加法的ヘッケ対称性を満たすものと一致することを示した。このような結果は、すでにHeim氏によって別の証明法でm=3の場合(2次ジーゲルモジュラー形式に対応する場合)に示されていたものを一般化したものである。第二に、符号(2,2)の直交群上のジーゲル・テータ級数が加法的ヘッケ対称性を満たすことを示した。第三に、第二の結果の応用として、弱正則楕円モジュラー形式からBorcherdsによって構成されたヒルベルト保型形式(Borcherds積)が乗法的ヘッケ対称性を満たすことを示した。第四に、Borcherds積の因子として現れるHirzebruch-Zagier因子へのヘッケ作用を研究し、応用として、Borcherds積へのヘッケ作用が弱正則楕円モジュラー形式へのヘッケ作用とcompatibleであることを示した。これは、Borcherdsが未解決問題としてあげていたものの部分的解決である。ジーゲル・テータ級数やBorcherd積は、無限次元リー環の理論や数理物理学と密接に関連している。我々の発見した新しい対称性がこれらの理論においてどのような意味を持つかは極めて興味深く、今後の発展が期待される。ジーゲル・テータ級数やBorcherds積に関する上記の結果を一般の符号(2,m)の直交群の場合に一般化することは重要な問題であり、今後の課題である。
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Research Products
(1 results)