2009 Fiscal Year Annual Research Report
代数群上の保型形式をめぐって:数論的不変量と保型L関数
Project/Area Number |
20540031
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Research Institution | Kyoto Sangyo University |
Principal Investigator |
村瀬 篤 Kyoto Sangyo University, 理学部, 教授 (40157772)
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Keywords | 保型形式 / Borcherdsリフト / テータリフト / 保型L関数 / 国際研究者交流 / オマーン |
Research Abstract |
1.昨年度に引き続き、Heim氏(オマーン・ドイツ工科大学)との共同研究において、直交群上の保型形式の中で、その因子がHeegner因子の整1次結合になるという際だった特色をもつBorcherdsリフトについて研究を行った。とりわけ、2次Siegel保型形式の場合のBorcherdsリフトについて詳しく調べ、次の結果を得た。 (1)2次Siegel保型形式の場合のBorcherdsリフトの重みについての必要条件を得た。 (2)Borcherdsリフトを上半平面の2個の積に制限して得られるWitt作用素の像について、ある特徴付けを得た。 (3)60以下の重みの2次Siegel保型形式のうち、Borcherdsリフトになるものを完全に分類した。これらの結果を得るとき、平成20年度に研究したBorcherdsリフトのもつ乗法的対称性が決定的役割を果たす。Borcherdsリフトについての今後の最も重要な課題は、乗法的対称性を満たす直交群上の保型形式Borcherdsリフトになるかという逆問題を考察することである。 2.成田氏(熊本大)との共同研究において、SL(2)と定符号四元数環の乗法群の積上の保型形式から2次四元数ユニタリ群上の保型形式へのテータリフト(荒川リフト)について、そのフーリエ係数が元の保型形式の周期として表されることを示し、さらに、それが保型L関数の特殊値として表されることを証明した。荒川リフトのPetersson内積を研究することによって、荒川リフトがBoecherer予想の類似を満たすことを示すことが今後の課題である。
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Research Products
(1 results)