2011 Fiscal Year Annual Research Report
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20540051
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Research Institution | Rikkyo University |
Principal Investigator |
塩田 徹治 立教大学, 理学部, 名誉教授 (00011627)
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Keywords | モーデルヴェイュ格子 / 有理楕円曲面 / 乗法的不変式論 / ガロア表現 / 代数方程式 / ワイル群 / E_6,E_7,E_8 |
Research Abstract |
はじめに本年度の主な研究成果について述べる。交付申請書に記載した研究目的のうち、テーマ:「モーデル・ヴェイユ格子から生ずるガロア表現および代数方程式」 について、とくに重要な進展があった。前年度に引き続き、半安定な有理楕円曲面の族に対応する乗法的理論の確立を目標としていたが、まずE_6の場合に、ワイル群の不変ローラン多項式のなす環が、曲面の族の定義式のワイヤストラス係数で生成される多項式環と同型になること、その同型写像を具体的に決定することに成功した。これは昨年度の研究結果を精密化するもので、最近学士院紀要で発表された([研究発表]の項参照)。 さらに上記の結果は、より一般的な場合に乗法的理論の目指すべき方向を示唆するものであった。実際、その後の発展として、クマール氏(MIT)との共同研究により、E_7およびE_8の場合に乗法的理論の基本定理を確立できることが分かった。詳細は現在準備中であるが、次年度には完成する予定である。代数方程式の観点からいえば、古典的な「3次曲面上の27直線」をはじめとするデルペッツォ曲面とその上の例外曲線を具体的に定める代数方程式に関する最終的な結果を与え、整数論や楕円曲線の有理点の問題への応用に加えて、代数幾何的応用が可能である。 次に研究実施について。科学研究費補助金の一部を海外旅費に充て、シュット氏(ハノーバー大学)をたずね、モーデル・ヴェイユ格子の特殊化写像を共同研究した。また、補助金でコンピュータを購入したが、これは研究計画上必要な計算を遂行のため、大変役立った。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
1: Research has progressed more than it was originally planned.
Reason
[研究実績の概要]で述べたように、ひとつのテーマ(モーデル・ヴェイユ格子から生ずるガロア表現および代数方程式)については、当初の計画をこえて進展したから。
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Strategy for Future Research Activity |
上記概要でふれたE_7,E_8の場合の研究を完成させることにより、モーデル・ヴェイユ格子理論の展望において、ひとつの完璧に理解できるケースとしての有理楕円曲面論を完成させたい。
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