2009 Fiscal Year Annual Research Report
Project/Area Number |
20540057
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Research Institution | Tohoku University |
Principal Investigator |
板東 重稔 Tohoku University, 大学院・理学研究科, 教授 (40165064)
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Keywords | 複素多様体 / 概複素多様体 / 安定性 / 正則ベクトル束 |
Research Abstract |
複素微分幾何学における主問題のひとつに、Kahler多様体が何時スカラー曲率一定のKahler計量を許容するか、という問題がある。Kahler多様体上の既約な正則束がEinsten-Hermitianを許容する為の必要十分条件は、Munford-Takemotoの意味で安定である事が、S.kobayashi、S.K.Donaldson、Uhlenbeck-Yauらによって示された。正則ベクトル束の場合と同様に、多様体においても定スカラー曲率Kahler計量を許容する為の条件は代数幾何学的な安定性が対応すると考えられている。 近年概複素多様体がシンプレクティック幾何との関連もあって、盛んに研究されるようになってきた。 基本形式がシンプレクティック形式となる概複素多様体は概Kahler多様体とよばれるが、Kahler多様体の場合と同様「安定性」を議論出来る可能性がある。また、Kahler多様体の安定性の概念はシンプレクティック幾何とも密接な関係を持っていることが分かっている。 そこで、概Kalller多様体においても二木不変量が意味を持つのではないか、と考え、実際にある意味で「安定性」と関連するような拡張が成り立つ事を先に確認していた。しかし、複素多様体でない概複素多様体で、「安定性」をある程度詳しく調べられるような良い性質を持つ例の構成は難しい。また、複素多様体の安定性を調べる事も一般には難しい。 一方、正則ベクトル束の安定性は複素多様体の安定性に比べると取り扱いが容易であり、特別なクラスの複素多様体の安定性は正則ベクトル束の安定性に関連付けられることが分かっている。そこで、概複素構造の場合も同様な事が成り立つか考察した。
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