2008 Fiscal Year Annual Research Report
Project/Area Number |
20540058
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Research Institution | Tohoku University |
Principal Investigator |
塩谷 隆 Tohoku University, 大学院・理学研究科, 教授 (90235507)
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Keywords | 分割定理 / ビジョップ・グロモフの定理 / ラプラシアンの比較定理 / デイリクレ形式 |
Research Abstract |
今年度, アレクサンドロフ空間上のビショップ・グロモフの体積比較の無限小版(以下BGと呼ぶ)について集中的に研究し、以下の二つの成果を得た。まず一つ目は、n次元アレクサンドロフ空間の曲率がある定数k以上のとき、n次元ハウスドルフ測度が曲率の下限がkに対応するBGをみたすことを証明した(桑江氏と共同)。これは、以前の論文でほぼあたりまえのものとして証明を付けなかった主張だが、最近、あるドイツの研究者から証明が分からないと質問を受け考察したところ、実はかなり非自明であることが判明した。今回その証明ができたので論文にまとめ、Proceedings of the 1st Math. Soc. Japan Seasonal Institute, Kyoto, 2008へ投稿し掲載が決定した。証明では、「近似微分」などを本質的に用いたデリケートな議論を要した。 もう一つの成果として、n次元アレクサンドロフ空間上の連続なウエイトをもつn次元ハウスドルフ測度が、曲率の, 下限がゼロに対応するBGをみたすという条件の下、分割定理を証明した。つまり、そのようなアレクサンドロフ空間が直線を含めば、実数直線とのリーマン直積に分解することを証明した。これはチーガー・グロモールの分割定理の拡張である。証明のもっとも重要な部分はラプラシアンの比較定理の証明である。これは、従来知られていた方法は通用せず、まったく新しい方法を開発し証明した。以前、ウエイトがない場合(つまり1のとき)に同様の結果を証明したが、今回の結果はその拡張になっている。しかし証明方法はまったく違う。応用として、特異点をもっリーマン多様体のBakry-Emeryリッチ曲率が非負のとき、そのベッチ数が次元以下であることなどが従う。
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Research Products
(7 results)