Research Abstract |
自然数1,2,…,mを項にもつ有限数列Iに対応して,m成分ストリング絡み目のミルナー不変量μ(I)が定義される.ここで,数列Iの中に同じ数が現れる回数の最大数をr(I)で表す事にする.例えば,r(1,2,3,1)=2,r(1,2,3,2,3,4,2)=3となる.本研究では,リンク・ホモトピーより細かな同値関係として,自己Cn-同値を考え,この同値関係とミルナー不変量μ(I)との関係を調べる.自己Cn-同値は,n=1の場合はリンク・ホモトピーと一致し,r(I)=1の場合は,μ(I)がリンク・ホモトピー不変量となることが知られている.更に,ミルナー不変量はストリング絡み目のリンク・ホモトピー分類与えることも知られている. これまでの研究で,r(I)≦nであるならばμ(I)が自己Cn-同値の下で不変量になることが分かっていた.本年度は,n=2の場合に関して自己Cn-同値の分類を研究した.自己C2-同値は自己Δ-同値と呼ばれる同値関係に等しいことが知られており,自己Δ-同値に関する研究は,研究代表者を含めた多くの研究者により為されている. 本年度発表した論文「Self delta-equivalence for links whose Milnor's isotopy invariants vanish, Trans AMS, 361 (2009), 4712-4749」では,「絡み目が自明な絡み目と自己△-同値になる為の必要十分条件は,r(I)≦2である全てのミルナー不変量μ(I)が0になることである.」ということを示している.
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