2008 Fiscal Year Annual Research Report
Project/Area Number |
20540073
|
Research Institution | Kyoto University |
Principal Investigator |
高村 茂 Kyoto University, 大学院・理学研究科, 准教授 (20362436)
|
Keywords | リーマン面の退化 / 分裂変形 / 特異点 / モノドロミー / 複素構造 / 複素曲面 / モジュライ空間 / テータ関数 |
Research Abstract |
リーマン面の退化族の特別なばあいとして、アニュラスの退化族があるが、A型特異点の解消空間の立場からそれを構成した。つまりA型特異点に特別な巡回群を作用させその商空間を考える。一意化定理の立場からは、この商特異点は2次元複素平面の巡回群商と同一視できる。後者の特異点解消空間はヒルツェブルフ・ユング構成により具体的に構成できる。さらに、A型特異点上に巡回群不変な関数をとってくると、これは商空間上の関数に降下する。この関数と特異点解消写像の合成写像がアニュラスの退化族を与えることを示した。この構成では、いわば最小退化を与えるが、非最小な退化族の興味深い構成法も与えた。具体的には、まずA型特異点の解消空間に巡回群作用をリフトさせる。このとき、解消空間の商空間は一般に複数個の特異点をもち、それらを解消してできる複素曲面は上述のA型特異点の巡回群作用の商空間の解消空間である。ただし、一般には最小解消空間ではない。さて、この解消空間へ最初に述べた関数をもち上げて、それと解消写像の合成写像を考えると、アニュラスの退化族で全空間である複素曲面が非最小である(例外曲線をもつ)ものが得られる。この結果は、コンパクトなリーマン面の退化族の局所モデルを与え、重要である。なお広島大学で行われたシンポジウムで発表を行った。
|