2009 Fiscal Year Annual Research Report
Project/Area Number |
20540081
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Research Institution | Kyushu University |
Principal Investigator |
長友 康行 Kyushu University, 大学院・数理学研究院, 准教授 (10266075)
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Keywords | モジュライ空間 / ベクトル束 / 調和写像 / 表現論 / 反自己双対接続 / リー群 / 対称空間 / 極小部分多様体 |
Research Abstract |
昨年度までにコンパクト対称空間上のベクトル束とその切断を利用して、全測地的部分多様体の組と等径関数を構成し、新たな調和写像の例として等径部分多様体の族内にただひとつ極小部分多様体が存在することを示したが、今年度はこれらの部分多様体の族に対して定義される不変量がベクトル束とその接続から得られる不変量により計算されることを示した。代数幾何学や位相幾何学においては、ベクトル束とその切断に対して、切断の零点集合はベクトル束の位相不変量と密接な関係にあり、深く研究されている対象であるが、微分幾何学的不変量にもまた、上記のような関係が存在することはまだ研究されていないものと思われる。この不変量の計算においては、昨年度までのグラスマン多様体への調和写像の研究がその基礎となっている。これらに関する結果は現在執筆中の論文にまとめられている。 次に、例外型リー群F4を等長変換群とする対称空間において、微分幾何学的に定義される四元数ケーラー構造を特徴付けるベクトル束の特性類を用いて、整係数コホモロジー群の生成元を説明することに成功した。これも昨年度までに得られたグラスマン多様体への全測地的はめ込みの理論の元になったツイスター切断の幾何学が重要な役割を負っている。これらに関する結果はすでに論文にまとめられ、国際的学術誌への掲載が決定している。 また、ケーラー多様体から複素グラスマン多様体へのエネルギー密度が一定の正則写像のモジュライ空間を線形代数的データにより記述することにも成功した。正則写像は調和写像となるので、グラスマン多様体への調和写像の理論を応用することが出来るが、計量と正則構造から得られる一意的な接続の存在が方程式の個数を減らし、記述を特別なものにしている。この結果は国際研究集会の紀要として発表されることが決定している 最後に複素射影直線から複素射影空間へのエネルギー密度一定の調和写像が一意的であることを、次数が低い場合に示すことができた。
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Research Products
(5 results)