2009 Fiscal Year Annual Research Report
Project/Area Number |
20540084
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Research Institution | Kumamoto University |
Principal Investigator |
小林 治 Kumamoto University, 大学院・自然科学研究科, 教授 (10153595)
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Keywords | 共形構造 / 射影構造 / Schwarz微分 / 単射性 |
Research Abstract |
交付申請書に記載した研究の目的は達成されなかった.のみならず,閉曲面上の正則ホモトピー不変量に関する昨年度の結果は証明に不備があることが明らかになった.これは来年度以降の継続課題となった.しかし,何も成果が得られなったわけではない.曲線のSchwarz微分を用いた,共形・射影微分幾何ついて以下のような結果を得た.リーマン多様体上の正則曲線に対して研究代表者が和田氏との共同研究で導入したSchwarz微分を用いると,この曲線に1次元射影構造が定義される.したがって射影直線への射影的展開写像が定義される.研究代表者は以前に,定曲率球面において次の単射性定理が成り立つことを示した. 「単射性」上記のように定義された曲線の射影展開写像が単射であれば,曲線そのものが単射,すなわち自己交点を持たない. この定理は内在的な単射性条件から外在的単射性が得られていることに,その意義がある.この「単射性」が球面以外のリーマン多様体において成り立つかは問題である.この問題について若干の結果を得た. 定理.コンパクト階数1対称空間で「単射性」が成り立つのは球面に限る. 他にも若干の例をあげることができる.また「単射性」の成り立つ計量の全体は計量全体からなる空間の中で内点をもたないなどの観察ができる.これだけで結論を出すには根拠が足りないが,次問題を提起できる.間題.「単射性」が成り立つコンパクトリーマン多様体は球面に限るか. この問題でコンパクト性をはずすと反例は容易に得られるのでコンパクト性の仮定は必要である.この問題の答えか肯定的であれば,新たな球面定理が得られることになり喜ばしい.そうでないない場合は,これまでにない新たな現象の出現となるので,これもまた興味深い.
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