2011 Fiscal Year Annual Research Report
Project/Area Number |
20540084
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Research Institution | Kumamoto University |
Principal Investigator |
小林 治 熊本大学, 大学院・自然科学研究科, 教授 (10153595)
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Keywords | 山辺不変量 / スカラー曲率 / ゲージ理論 / 正則ホモトピー |
Research Abstract |
交付申請書に記載したS^2xS^2の山辺不変量の評価はやはり困難な課題であったが,重要である事を再認識した.この問題の解決のために何が足りないのか?どんな戦略を立てるべきか?について考えた.その結果,1990年代のルブランによるサイバーグ・ウィッテン理論とスピン解析を用いた研究手法を手中に収める事が,当面必要な最重要事項であると認識した.この理論をものにするには1970年代以降のゲージ理論を理解する必要がある.そのためには1960年代のアティヤー・シンガーの指数定理,K理論,を理解する必要がある.さらに1950年代の微分トポロジーも地に足の付いた理解をする必要がある.そのため今年度は,このような過去の数学の成果を集中的に習得する事に多くの時間を割いた.もちろんこれは論文の形の研究成果に直接結びつかないが,中長期的に考えた時に欠く事のできない事柄である.学術論文にはならないものの大学院生指導用の教材としては十分意味のある記録を残した.項目15.備考欄にあるURLを見て頂ければ,少なくとも研究活動の証しを見つける事ができるはずである.現時点ではヤン・ミルズ理論,すなわち1980年代の幾何学を研究中で,この目的の第1段階の達成にはまだ半年あるいは1年程度の時間を要する.他の課題,閉曲面上の正則閉曲線の正則ホモトピー不変量については,それを共形微分幾何的に解釈する結果だけは得ている.しかし証明に不備があり,その修復は大きな困難ではないと考えるが優先順位として後回しになり,今年度の研究において論文作成の段階に至ってない.またシュヴァルツ微分を用いた曲線の射影的単射性と自己交点を関係づけた理論において,単射性定理が成り立つコンパクト多様体が球面だけではないかと言う推測があるが,この方面の研究も1年前からそのまま放置してあり,学術論文にするだけの完成度に達してない.以上のように形に現れる成果はないものの実質においての進展はある.研究の実施にあたっては,交付申請書に記載した計画の通りの研究活動を行い有意義であった.
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