2010 Fiscal Year Annual Research Report
ゲージ理論的手法によるアインシュタイン計量及びリッチフローの研究
Project/Area Number |
20540090
|
Research Institution | Sophia University |
Principal Investigator |
石田 政司 上智大学, 理工学部, 准教授 (50349023)
|
Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
大内 忠 上智大学, 理工学部, 教授 (00087082)
都築 正男 上智大学, 理工学部, 准教授 (80296946)
|
Keywords | リッチフロー / アインシュタイン計量 / ゲージ理論的不変量 / 異種微分構造 |
Research Abstract |
本年度は、以下の成果があった; 1. 4元元球面及び2次元複素射影空間の下部構造としての位相多様体が異種微分構造を許容するのかどうかは、4次元微分ボアンカレ予想に関連し、4次元トポロジーにおける懸案の問題の1つである。その次に位置する問題として、2次元球面の2つの直積の下部構造としての位相多様体が異種微分構造を許容するのか否かも現在までに解決を見ていない難問である。これに関し、この方面で顕著な成果を上げている、Anar Akhmedov(University of Minnesota)とB.Dong.Park(University of Waterloo)の両氏と議論する機会に恵まれ、共同研究が始まった。具体的には、両氏の2次元球面の2つの直積上の異種微分構造の構成のアイデアの検証及び、拡張に関するものである。応用として、正スカラー曲率計量の存在に関するローゼンバーグ予想に対し新しい反例を構成する1つのアイデアを得た。この共同研究は現在も進行中である。この研究は本研究課題に深く関連している。 2. 2008年に証明した安定コホモトピー不変量の非消滅定理の条件を満たす、4次元多様体の新しい無限族をI.Baykur(Brandeis University)氏と共に構成した。これは2008年に構成した特殊な2つの系列を含む無限族になっている。さらにこれをリッチフロー解の存在に関するFang-Zhang予想に応用した。この予想は4次元多様体上のリッチフローの非特異解の存在が、位相的な制限を与えるであろうと予想するものである。我々は、新しく構成した無限族に対して、その位相的制限を満たすにも関わらず、非特異解が存在しないことを証明した。これは、一般にFang-Zhang予想の逆が成立しないことを意味している。さらにその予想を、体積エントロピー項を持つ場合にまで拡張して考察し、その場合もやはり予想の逆が我々の新しい無限族に対しては成立しないことを見出した。これらの成果は、arXiv上にarXiv:1011.2744として発表した。この他にも、アインシュタイン計量と異種微分構造に関する新しい結果を証明することができ、論文として、専門雑誌に現在投稿中である。
|