2010 Fiscal Year Annual Research Report
Project/Area Number |
20540105
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Research Institution | Gunma University |
Principal Investigator |
松浦 勉 群馬大学, 大学院・工学研究科, 准教授 (80181692)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
齋藤 三郎 群馬大学, 名誉教授 (10110397)
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Keywords | 逆問題 / 再生核理論 / ラプラス実逆変換 / 正則化 |
Research Abstract |
我々はこれまで再生核理論を用いて種々の逆問題の解法を開発してきた.平成22年度はこれらのうちのいくつかについて,計算機向けにアルゴリズムを構築して解法の妥当性,有用性について検証した. 具体的に述べると,ひとつには一般の非線形変換の逆変換の表現方法に応用する研究とそれらの数値解法のためのアルゴリズムを開発した.さらにこの手法を画像解析に応用することを考え,具体例を示して工学系の論文誌に発表した,このような方法は工学系(特に画像処理,信号処理分野)の研究者には新鮮に映ったようで,講演においても多数の質問や提案が寄せられ,今後の我々の研究にとっても思いもよらないヒントを得ることができた.ただ,現場寄りの研究者にはこれらの手法の意義を正しく理解していただけないことも多いようで,今後はさらに実用を意識したアルゴリズムの開発や適用例の拡大を図る必要性も感じられた.二つ目には信号処理における大きなテーマである混合信号の分離について,我々の方法にウェーブレット変換を取り入れた手法を考案した.この方法も従来の(画像解析を含む)信号処理工学の分野には全くなかった発想であり,この分野の研究者には驚きであったようである.しかし実用的な観点からいくつかの疑問も寄せられ,現場で本当に使っていただくには,ノイズなど「汚い条件」も考慮した信号処理方法を新たに考える必要を痛感した.三つ目にはいわゆる一般逆行列の計算方法を再生核理論の立場から導いた.数値計算の分野では一般逆行列の解法は既に確立されたものと考えられているが,再生核理論の立場から光をあてることにより,異なる側面が見えてきた.現在のところ,これが今後どのように発展していくか不明であるが,何か工学的な応用が考えられないかと思案しているところである.
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