2009 Fiscal Year Annual Research Report
Project/Area Number |
20540106
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Research Institution | Saitama University |
Principal Investigator |
道工 勇 Saitama University, 教育学部, 教授 (60207686)
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Keywords | 超過程 / 超拡散 / 測度値分枝マルコフ過程 / 長時間極限 / 極限定理 / 1次モーメントの時間平均量 / 再帰的拡散過程 / 作用素の臨界理論 |
Research Abstract |
1.測度値確率過程論の中の特別なクラスに属する、空間依存型パラメータを伴う測度値分枝マルコフ過程(超過程)に関する極限定理について研究を行った。 2.この確率モデルの背景は、分枝粒子系として分枝率と分枝機構を与え、個別に独立な粒子がランダムな時間に分裂し、ランダムな個数の子孫を生成し、一般の2階楕円型偏微分作用素に従う拡散運動をしながら時間発展を繰り返していく状態を経験測度的に記述するものである。対象の超過程は、その粒子系において時間短縮高密度矮小化極限(一種のスケール変換手法)をとることにより極限過程として自然に導かれる。 3.また空間依存型パラメータを伴うという意味は、環境の善し悪しに応じて分裂時間の長短や産出子孫数の増減が変化する様を記述できるモデルであることを指す。 4.本研究では、背景にある粒子系を統帥する微分作用素Lが再帰的拡散に対応すること、並びに対象超過程に臨界性と時間一様性を仮定した。この設定の下で、臨界的作用素およびその随伴作用素の一般化最小固有値に対応する固有関数に関する領域積分発散性を仮定するとき、対象超過程の1次モーメントの時間平均量の長時間極限が退化するという極限定理を証明した。 5.これはそれまでに得ている従属空間運動やコアレシング空間運動を伴う超過程の1次モーメントの指数的漸近挙動に関する極限定理の結果に続く成果である。また証明の途中段階で、背景にある再帰的拡散の滞在時間の平均量が支配的な量として出現し、仮定の発散積分条件がハスミシンスキーの再帰的拡散に対する境界値問題の非可解性と自然に絡み合うなど、確率論的に深い内容をもつ新しい知見に結びつき、興味深い結果である。
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Research Products
(4 results)