2009 Fiscal Year Annual Research Report
Project/Area Number |
20540107
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Research Institution | The University of Tokyo |
Principal Investigator |
小松 彦三郎 The University of Tokyo, 大学院・数理科学研究科, 名誉教授 (40011473)
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Keywords | 関孝和三百年祭数学史国際会議 / 和算 / 関孝和 / 19世紀の解析学 / ヘヴィサイド |
Research Abstract |
2008年は関孝和の没後300年にあたり、日本数学会と日本数学史学会はこれを記念して「関孝和三百年祭記念数学史国際会議」を開催した。その開催責任者として、研究代表者は2009年度をこの会議録の編集のために多大の時間を使った。日本の数学である和算は約400年前に始まった。その先達であった中国数学は2000年の歴史を誇る。これらの数学に対する歴史的研究の歴史も古い。その間に信ぜられるようになったいくつかの誤った定説を正す事ができたのはこの会議の成果であった。これは最近のデジタル技術の進歩により古い文献が多くの研究者に入手できるようになったことが役立っている。また、コンピュータ技術の進化のお陰で昔の数学者の膨大な数式計算の結果を短時間で再現できるようになったことも大いに寄与している。この会議録は2010年中に600ページ余りの本としてシュプリンガー社から出版される予定で,その結果,これまでのメソポタミアあるいはエジプトで始まり、ギリシャ、イスラム、ルネッサンス・ヨーロッパ、と直線的に発展して来たと見られてきた数学の歴史が、違って考えられるようになる事を期待している。中国では、この成果をこれからの数学、コンピュータ利用技術の発展に役立てようとしている、 もう一つの主な研究対象であった19世紀の解析学の発展については、特にHeavisideの電気信号の伝搬理論について、一切の曖昧さを排した一つの体系としてまとめる事に成功した。今はまだ理論上の整備にとどまっているが、現在世界的な規模で進行中の送電網の改新など実際的な問題にも役立つことになるように願っている。
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Research Products
(4 results)