2010 Fiscal Year Annual Research Report
Project/Area Number |
20540109
|
Research Institution | The University of Electro-Communications |
Principal Investigator |
中村 健一 電気通信大学, 大学院・情報理工学研究科, 助教 (40293120)
|
Keywords | 進行波解 / 界面方程式 / 数理生態学 |
Research Abstract |
生態系や生物多様性の観点から近年問題となっている在来種の保護への対処法を提案するために,生物種の生存競争の数理モデルとして広く用いられている2種競争系およびその特異極限系として導出される界面方程式に対する進行波に関して,方程式の空間非一様性が進行波の伝播速度に与える影響を定量的かつ精密に評価した.具体的に得られた成果は以下の通りである. 1.進行波の伝播速度の下からの精密な評価 2種競争系の特異極限系として得られる界面方程式を空間的に非一様な形状を持つ2次元シリンダー領域で考察し,境界形状が非常に細かいという均質化極限をとった場合の進行波の伝播速度の精密な評価を行った.従来は,速度の下からの評価は粗いものしか得られていなかったが,境界でディリクレ境界条件を課す比較関数とノイマン境界条件を課す比較関数を進行波の位置に応じて組み合わせることで,進行波の伝播速度を下から精密に評価できるようになった.その結果,シリンダー領域の境界形状が空間周期的な場合に,進行波の伝播速度がその均質化極限に漸近するオーダーを厳密に決定することができた. 2.準周期的境界形状の場合の均質化極限に漸近するオーダーの特徴付け 境界形状が空間準周期的な場合には,進行波の伝播速度がその均質化極限に漸近するオーダーを求める問題が,無理数回転で生成されるクロネッカー列の分布と深く関係していることを見出した.この問題については,次年度に研究をより深めていく計画である.
|
Research Products
(1 results)