2011 Fiscal Year Annual Research Report
Project/Area Number |
20540109
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Research Institution | Kanazawa University |
Principal Investigator |
中村 健一 金沢大学, 数物科学系, 准教授 (40293120)
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Keywords | 反応拡散系 / 進行波 / 均質化極限 / 界面方程式 |
Research Abstract |
本年度も、昨年度までの研究に引き続き、生物種の生存競争の数理モデルとして広く用いられている2種競争系の特異極限として得られる界面方程式の進行波に関し、以下の研究を行った。 1.再帰的環境を伝播する特異な進行波の存在 空間的に一様でない境界形状を持つ、無限に長い2次元帯状領域において界面方程式(曲線の発展方程式)の進行波について考察した。非周期環境における進行波は、すべての時刻に対して定義される全域解で、しかもそのプロファイル(形状)が環境に連続的に依存するものとして定式化される。非周期的な環境の場合は、境界形状によっては、非常にゆっくりと進む(数学的に述べると、最小平均速度がゼロの)全域解が存在することが知られていたが、その解が環境に連続的に依存して形状を変化させる進行波であるかどうかはわかっていなかった。この問題に対し、準線形放物型方程式に対する無限次元力学系の理論を適用して、全域解の一意性を証明し、それが進行波であることを明らかにした。 2.境界形状が非常に微細な構造を持つ特異極限下の進行波の速度 環境の空間非一様性が進行波の伝播速度に与える影響を正確に見積もるため、境界形状が準周期的で、しかも非常に細かい空間構造を持っている場合に、進行波の平均伝播速度の均質化極限を詳細に調べた。すでに前年度までの研究により、境界形状が空間周期的な場合には、平均伝播速度が均質化極限に漸近するオーダーが厳密に決定されていた。その手法を空間準周期的な形状の場合に適用することにより平均伝播速度の精密な評価を行い、平均伝播速度が均質化極限に漸近するオーダーは準周期的な境界形状の線形独立な周期の個数に依存して決まることを示唆する結果を得た。
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Research Products
(2 results)