Research Abstract |
集合Aに対し,A上の多変数関数の集合で,関数の合成に関して閉じていて,射影関数をすべて含むものをA上のクローンという。本研究では極小クローンに焦点をあて,極小クローンの分類を目標に研究を行った。極小クローンは,1個の関数によって生成されるクローンであるが,その分類は極めて困難な課題であることが知られている。平成21年度は,平成20年度までの研究を引き継ぎ,2変数idempotent関数および3変数majority関数によって生成される極小クローンに的を絞って研究を進めた。研究の方法は,基礎の集合Aに有限体の構造を導入して,極小クローンの生成元となる関数を有限体上の多項式として捉えるという新しい方法である。 当初掲げた研究計画のうち,2変数idempotent関数に対する3値の場合のB.Csakanyの結果の一般化について,未完成であったいくつかのものについて一般化を与える結果を得た。しかし,一般化となる多項式を求めることが著しく困難な場合があることも同時にわかった。これらについては発見的考察が必要となるため,計算機を用いて求めることにも大きな困難が伴う。 一方,3変数majority関数に関して,特定の多項式(われわれがμ(x,y)やδ(x,y)と名づけた多項式など)を構成要素とする最小多項式の研究を進めた。この方向の研究は,3変数majority関数に限らず,ほかの種類の最小多項式の研究に対しても適用可能であると思われ,研究の新しい方向を示唆するものと思われるが,ここでは,構成要素となる多項式の発見が極めて困難な作業となる。 なお,平成21年度は,上記の研究と平行して,中心化クローンの研究や超クローンの研究も行った。とくに,3値の集合上のendoprimalモノイドの決定を目指す研究を進め,成果を得た。
|