2010 Fiscal Year Annual Research Report
Project/Area Number |
20540111
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Research Institution | Hitotsubashi University |
Principal Investigator |
町田 元 一橋大学, アーツ・サイエンス研究科, 研究員 (40090534)
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Keywords | 離散数学 / 普遍代数 / 多値論理 |
Research Abstract |
集合A上の多変数関数の集合で,射影関数をすべて含み,関数合成に関して閉じているものをクローン(clone)という。A上のクローンの全体は束の構造をもつ。クローン束のatomを極小クローンという。本研究では,有限集合上の極小クローンに焦点をあて,極小クローンの分類を目指す研究を行った。研究の方法は,基礎の集合に有限体の構造を導入して,極小クローンの生成元となる関数を有限体上の多項式として捉えるという新しい視点からの方法である。 今年度は,とくに,極小クローンの生成元である極小関数が2変数idempotent関数の場合について研究を行った。k=3の場合にCsakanyが求めた極小関数fの有限体GF(3)上の多項式表現Pを出発点とし,その多項式の,素数ベキk>3上の多項式への一般化を試みた。いまは具体例を増やす段階であり,極小関数となる多項式の特徴づけという研究目標はまだ達成していない。 また,多変数関数の交換可能性を基にして定義されるクローンで,中心可能クローンとよばれるものがある。さらに,中心可能クローンの1変数関数の全体を中心可能モノイドとよぶ。今年度は中心可能モノイドの研究も行った。証人集合という概念を導入し,中心可能モノイドを証人集合と可換なモノイドとして捉えて,その分類に関する研究を行った。3値の場合,極大な中心可能モノイドはある特定の種類の極小関数(定数関数とmajority関数)を証人集合としてもつ,という新しい知見が得られた。これは驚くべき結果である。中心可能モノイドと極小クローンの関係について,今後さらに研究を深めたい。
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Research Products
(10 results)