2010 Fiscal Year Annual Research Report
楕円型境界値問題が定義された領域の形状および位相最適化問題の正則化解法
Project/Area Number |
20540113
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Research Institution | Nagoya University |
Principal Investigator |
畔上 秀幸 名古屋大学, 大学院・情報科学研究科, 教授 (70175876)
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Keywords | 応用数学 / 関数解析学 / 数理工学 / 設計工学 / 境界値問題 / 最適化 |
Research Abstract |
1. 基礎理論について 形状と密度型位相最適化問題の正則な数値解法に関する基礎理論をまとめ,その成果を国際会議の特別講演,招待講演,論文として公表した.その概要は次のとおりである.Hilbert空間上で構成された抽象的最適化問題に対して,評価関数がFrechet微分可能として,Hilbert空間上の強圧的な双1次形式を用いた抽象的勾配法を定義する.抽象的勾配法の解の一意存在はLax-Milgramの定理によって示される.楕円型境界値問題が定義された領域の形状あるいは位相最適化問題は,適切な滑らかさを備えた領域写像あるいは密度相当の関数の集合を許容集合として,それを含むHilbert空間上の関数最適化問題として構成される.解法は,双1次形式を具体的に指定した抽象的勾配法で構成される.両最適化問題に対してHilbert空間は異なるが,共にH^1級であることから,それらの抽象的勾配法をH^1勾配法と呼ぶ.楕円型境界値問題の既知関数や評価関数を適切に設定すれば,H^1勾配法の解は許容集合に含まれることが示される. 2. 数値解法について 形状微分に境界の曲率が現れる場合の数値解法に関して,多角形や多面体のように区分的に曲率が零の境界に適用できる公式を用いれば,形状微分は頂点や辺上に多角形や多面体の接線として現れることから,通常の有限要素法を用いた解法に容易に組み込めることが分かった.位相最適化問題に対する誤差評価の理論もまとめられた. 3. 実問題への応用 非定常Navier-Stokes流れ場の形状最適化問題に対する論文が公開された.リンク機構の最適設計問題に対して,強度規準を満たした下で運動エネルギーを最大化する形状最適化問題に対する形状微分の評価方法を示した.また,建築物の固有振動数および固有振動モードの実験値から損傷個所をみつける問題を構成し,その解法と固有振動数を用いた場合の数値例を示した.
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Research Products
(14 results)