2011 Fiscal Year Annual Research Report
楕円型境界値問題が定義された領域の形状および位相最適化問題の正則化解法
Project/Area Number |
20540113
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Research Institution | Nagoya University |
Principal Investigator |
畔上 秀幸 名古屋大学, 大学院・情報科学研究科, 教授 (70175876)
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Keywords | 応用数学 / 関数解析学 / 数理工学 / 設計工学 / 境界値問題 / 最適化 |
Research Abstract |
1.基礎理論について 形状最適化問題に対する形状微分の評価式について,これまでの境界積分による表現に加えて,領域積分による表現を得た.この表現は領域変動と共に境界値問題の解が変動することを仮定した下で得られ,境界形状の滑らかさの仮定を落とせる利点をもつ.領域積分による表現を用いた数値例を線形弾性問題の平均コンプライアンス最小化問題に対して得たところ,特異点がない設定では境界積分による表現の結果とほぼ一致し,特異点がある設定では異なる結果を得た.その原因と優劣については未解決であり,次年度において検討したい.さらに,本年度は,本研究で提案するH1勾配法の誤差解析をまとめた論文を完成させた. 2.数値解法について 形状微分に曲率が現れる形状最適化問題に対して,多角形や多面体のような曲率が零の境界に適用できる公式について,妥当な数値例が得られることが確かめられた。また,汎用シミュレーションソフトウェア(FreeFEM++,Comsol)を用いて,H1勾配法の解析が行えることを示した. 3.実問題への応用 ・Navier Stokes流れ場の形状最適化問題に対して,当初,領域積分を用いた形状微分の表現に基づいた数値例を示すことを目指したが,実現できなかった.一方,粒子法を用いてこの問題をH1勾配法で解析できることを示した.・リンク機構の最適設計への応用を目指して,リンク結合された剛体の運動エネルギーを最大化する形状最適化問題に対して,数値例を示した. ・建築物の耐震性診断への応用として,固有振動数および固有振動モードの実験値と理論値の誤差を目的関数に選んだ材料密度同定問題を解析するプログラムを大規模なモデルも解析できるように改良した.
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
本研究の主要な課題であった形状最適化問題に対する正則性が保障された解法を示すことがほぼできつつある.特に,平成23年度には有限要素法などの数値解析法を用いた場合の誤差解析の結果が得られたことにより,提案した解法の実用的な品質保証もなされた.さらに,その応用例を示すことも進んでいる.これらの理由により上記評価を行った.
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Strategy for Future Research Activity |
本課題の最終年度にあたる次年度には,これまで得られた知見をまとめて形状最適化問題に対する入門教材を作成することを目指す.また,産業界の最適設計問題などへの応用がイメージできるような応用例を増やすよう努力したい.
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Research Products
(15 results)