2010 Fiscal Year Self-evaluation Report
A Study of the Hardness of Algebraic Algorithms and Its Applications to Public-Key Cryptography
Project/Area Number |
20540125
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Research Category |
Grant-in-Aid for Scientific Research (C)
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Allocation Type | Single-year Grants |
Section | 一般 |
Research Field |
General mathematics (including Probability theory/Statistical mathematics)
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Research Institution | Tokyo Metropolitan University |
Principal Investigator |
UCHIYAMA Shigenori Tokyo Metropolitan University, 大学院・理工学研究科, 准教授 (40433172)
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Project Period (FY) |
2008 – 2011
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Keywords | アルゴリズム / 暗号・認証 / 量子コンピュータ |
Research Abstract |
1970年代の公開鍵暗号の概念の提案以来、数多くの実用的な公開鍵暗号方式が提案され、それらはIT社会とも呼ばれる現代社会では欠かすことのできない重要な技術となっている。一方、その安全性を支える代表的な数学的問題は量子計算機と呼ばれる計算機が実用的になった将来には、効率よく解かれてしまうことが知られている。有名なRSA暗号やRabin暗号の安全性は素因数分解問題に、ElGamal暗号の安全性は有限体(又は、有限体上の楕円曲線)上の離散対数問題の計算量的困難さにそれぞれ基づいている。これらの整数論的問題は、現在のところ十分大きなサイズであれば、既存の計算機の性能をもってしても現実的な時間では解くことは非常に難しいと考えられている。一方、量子計算機と呼ばれる次世代の計算機が実現された暁には、これらの整数論的な問題は、1994年にShorにより提案された量子計算機に基づくアルゴリズムを用い効率良く解かれることが示されている。現在の計算機の進歩の歴史や、上記の整数論的問題に基づく公開鍵暗号が現代社会の根幹を支える重要技術の1つとなっている事を考えると、近い将来量子計算機が実現された際に、社会に与える影響の大きさを少しでも軽減するためにも、今からその対策を進めておくことは十分に意義があると考えられる。本研究では、量子計算機を用いた攻撃に対して耐性を持つ公開鍵暗号の提案を目標とし、既存の方式やそれが基づく数学的問題の解析を行うものである。大きくわけて以下の2段階で行う。 (1)代数学的な問題に対するアルゴリズムの解析及び改良:格子に関連する問題や組み合わせ論に関する問題等、量子計算機を用いても解くことが困難と考えられる問題、特に他の今まで扱われることのなかった代数学的な問題も視野に入れ実装も含めた解析を行う。 (2)上記の問題に基づく新しい落とし戸つき一方向性関数の構成:実用的な公開鍵暗号のしかけとなる一方向性関数の候補としては上記の数論的な問題しかないと言っても過言ではなく他の代数学的なアルゴリズムの解析に基づき、新しい一方向性関数の構成を試みる。
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