Research Abstract |
最適線形符号問題とは、q元体上の長さn,次元k,最小距離dの線形符号([n,k,d]q符号)が存在する限界を決定する問題で、q=3,k=6でもまだ多くの未解決問題が残っている。 本年度は、まず3元線形符号の(2,1)-拡張可能性について調べ、その過程で3元線形符号に付随して現れる射影空間の3つの部分集合による分割の幾何学的な特徴付けを行った。その結果、射影空間PG(k-1,3)のquadricが密接に関連していることが判明し、次の論文で発表した。 [1] Y. Yoshida, T. Maruta, Ternary linear codes and quadrics その幾何学的特徴付けにより、3元線形符号の存在性について調べる強力な手掛かりが見つかり、長年その存在性が不明であった[305,6,202]3符号の非存在を示すことができた。これにより、(q,k,d)=(3,6,202)のときの存在限界が確定した。この結果も上記論文に含まれている。 尚、(2,1)-拡張可能性については、ブルガリアで開催された国際会議ACCT2008で報告した。 一方、q=5,k=5の場合の最適線形符号問題に関する結果の一般化にも取り組み、その研究過程で射影平面PG(2,9)の(48,6)-arcを分類する必要が生じた。コンピュータを援用して調べた結果、PG(2,9)の(48,6)-arcは全て射影同値であるという興味深い結果を得た。この成果は、12月に開催された国際会議で報告すると共に、次の論文として発表した。 [2] T. Maruta, A. Kikui, Y. Yoshida, On the uniqueness of (48,6)-arcs in PG(2,9) また、PG(2,8)の(42,6)-arcの分類について、韓国の千恩珠博士と共同研究を行い、3種類のarcを発見した。この研究は未完成のため、次年度も引き続き行うことになった。
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