Research Abstract |
最適線形符号問題とは、q元体上の長さn,次元k,最小距離dの線形符号([n,k,d]q符号)が存在する限界 (具体的にはnの最小値nq(k,d))を決定する問題で、符号理論において最も基本的な研究課題の一つであるが、q=3,k=6の場合でもまだ多くの未解決問題が残っている。 本年度は、q=3,k=6の場合に取り組み、3元線形符号に対する拡張定理を応用してGriesmer符号の非存在性に関する成果を得た。また、射影双対(projective duality)などを利用して、新しい符号をいくつか構成した。3元線形符号についての成果は、次の論文で発表した。 T.Maruta, Y.Oya, On optimal ternary linear codes of dimension 6 また、拡張定理に関する全般的な解説及び幾何学的な考察について、新しい結果と共に次の論文で発表した。 T.Maruta, Extension theorems for linear codes over finite fields 更に、コロラド州立大学のAnton Betten准教授らと共に、3次元の最適な8元線形符号に対応する射影平面PG(2,8)の(42,6)-arcの分類にも取り組み、次の論文として発表した。 A.Betten, E.J.Cheon, S.J.Kim, T.Maruta, The classification of (42,6)_8-arcs また、PG(2,8)の(33,5)-arcの分類とその一般化にも成功した。Betten准教授らとの共同研究は、今後も続けていく予定である。 q=3,k=6の場合の最適線形符号問題については、上記の論文発表後もいくつかの重要な成果を得ることができ、国際会議35ACCMCCで発表した。この成果により、q=3,k=6の場合でn3(6,d)が未決定なdは、残り80個となった。これらを解決するには、更に新しいアイデアが必要であると思われる。
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