2009 Fiscal Year Annual Research Report
Project/Area Number |
20540133
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Research Institution | Showa University |
Principal Investigator |
樋口 雄介 Showa University, 富士吉田教育部, 講師 (20286842)
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Keywords | グラフ / 酔歩 / ラプラシアン / スペクトル幾何 / 被覆時間 |
Research Abstract |
幾何・スペクトルの情報を通して,有限グラフ上の酔歩の被覆時間に関する挙動の詳細な解析を目論んでいるが,サイクルを持たないという特殊な構造を持つ木においてすら,未だ研究途上である.本年度はさらに特殊な幾何構造を持つspider graphに限定して,酔歩の被覆時間および被覆完了時の到達頂点の分布に関する詳細な計算を,九州大学の白井・大輪両氏と成し遂げ,今後の研究に繋がる土台ができた.本研究のテーマは,幾何・スペクトル・被覆時間という三者の相関関係の解析といえるが,よりスペクトル幾何での土台面では,無限木上でのラプラス作用素に有限次元の摂動(有限の台のポテンシャル)を加えた作用素のスペクトル解析にも従事した.金沢大の小栗栖氏らとの1次元格子上での一般のポテンシャルでの孤立固有値に関する継続研究では,ポテンシャルの強さ・台の数と孤立固有値の発生に関するさらなる詳細な関係が得られた.さらにメンバーに愛媛大の野村氏らを加えて,隠れた固有値ともいえるレゾナンスに関する研究も開始することとなった.これはグリーン函数を解析接続することで"見えてくる"特異点であり,それらの挙動はなんらか酔歩の挙動に影響を及ぼすと考えられ,それゆえ詳細な解析が求められる.現在の所では特殊なポテンシャルとレゾナンスの挙動の例を計算した程度ではあるが,今後は,一般のポテンシャル,さらには一般のグラフに拡張し,スペクトル解析および被覆時間を含むグラフ上の酔歩の挙動の解析に繋げていくつもりである.他にも,負定曲率無限グラフのスペクトル情報の取り出しや,有限有向グラフの被覆グラフの強・弱連結性に関する研究にも進展があり,総じていば,本研究において,今後に繋がる基本土台が固まりつつある状況といえる.
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