Research Abstract |
本年度は無限の区分的遅れを持つ非線形差分微分方程式の平衡解の大域漸近安定性に関する論文がJ.Comput. Appl. Math.に掲載された(研究発表欄;雑誌論文1番目).引き続き,複数遅れを持つ非線形差分方程式に対する結果(Y.Muroya, E.Ishiwata, N.Guglielmi, JMAA, 334, 2007)を別の問題に応用し,十分条件の拡張を行い,投稿論文として準備した(平成22年度の初めにはComput. Appl. Math.に投稿する予定). 一方,数理生物学の中でも感染症の伝播に関する代表的な離散型SIRSモデルについて,時間項に定数遅れを持つ場合の感染症が永続しない場合の平衡点の大域漸近安定性ならびに永続する場合のパーマネンスの十分条件について,共著論文としてJ.Math. Anal. Appl.に投稿した(本論文は平成22年度の初めに条件付採録の判定をいただき,修正原稿を準備中である). さらに,代表的な数理生物モデルであるLotka・Volterraモデルの中で,複数の捕食者・被食者をもつハングリータイプの可積分な離散型モデルに対し,その時間発展が,ある帯行列の複素固有値計算アルゴリズム(dhLVアルゴリズム)として導かれることを近年,共同研究として示している(Inverse Problems, 25, 015007, 2009).本年度はこのアルゴリズムの収束性について,中心多様体を利用して示した論文が掲載され,他の固有値計算アルゴリズムとの関連性についても発表した(研究発表欄;雑誌論文2,3番目).引き続き,他の離散可積分系から別タイプの固有値計算アルゴリズムを導出し,dhLVアルゴリズムとの関連性まで明示した共著論文をMath. Comp.に本年度末に投稿した.
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