2009 Fiscal Year Annual Research Report
計算可能性問題における極限再帰関数の役割の多角的研究
Project/Area Number |
20540143
|
Research Institution | Kyoto Sangyo University |
Principal Investigator |
八杉 満利子 Kyoto Sangyo University, 名誉教授 (90022277)
|
Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
森 隆一 京都産業大学, 理学部, 教授 (00065880)
小林 聡 京都産業大学, コンピュータ理工学部, 教授 (70234820)
辻井 芳樹 京都産業大学, 理学部, 教授 (90065871)
|
Keywords | 極限再帰性 / 実効的収束 / 2次元Fine可積分関数 / フラクタル / 実効的一様性 / 列計算可能性 / 単調有界性原理 / 計算可能分布 |
Research Abstract |
当研究課題は数学における計算可能性問題で不連続関数を扱う場合に重要な役割をもつ極限再帰性についての多角的研究である。それに関して以下の成果をあげた。考察の領域は基本的に実数および実数上の関数である。不連続関数の列計算可能性に関して、極限再帰性による概念と実効的一様性による概念の同値性を前年度から引き続いて完成させた。とくにある自然な条件のもとで後者が前者を含意することを証明し、また計算概念としての両手法の比較検討をした(八杉他:論文1・発表1)。極限再帰の計算としての認識論的価値に関して、集合列の単調有界性という原理の認識に問題を帰着させることを提案した(八杉:発表2)。実効的一様位相の例であるFine位相は不連続関数の解析学展開において重要な役割をもつ。2次元Fine-計算可能関数の積分論の実効化(計算可能版)が出版された(森を中心に辻井、八杉:論文2)。また、確率分布の計算可能性について分布関数が連続の場合に実効化し不連続関数の場合への足がかりを作った(森代表の科研費による課題との共同研究;辻井、八杉:論文5・発表3)。Fine連続でユークリッド位相では不連続な関数例のグラフが無限個の縮小写像によるフラクタルをなすことおよびその概念がMarkov-自己相似集合と同じであることの成果が出版された(辻井を中心に森、八杉他:論文3)。それを発展させ、グラフ-有向集合のランダムな反復アルゴリズムによる生成の理論をたてた(辻井を中心に森、八杉他:論文4・発表4)。極限再帰計算に関する論理的考察および計算機上での実行に関しては研究途上である(小林)。思想的背景として、極限計算のアイディアの元となったヒルベルトの有限基底定理に関して新カント派の哲学、とくにH.コーエンの「無限小(実は極限)の哲学」との類型的相似性を発見した(連携研究者・林)。
|
Research Products
(10 results)