2008 Fiscal Year Annual Research Report
測度空間における最適化の理論と計算手法およびその応用に関する研究
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20540147
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Research Institution | The Institute of Statistical Mathematics |
Principal Investigator |
伊藤 聡 The Institute of Statistical Mathematics, 数理・推論研究系, 准教授 (50232442)
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Keywords | 測度空間における最適化 / 無限計画 / 線形計画法 / 緩和法 / 切除平面法 / 双方向切除平面法 / 容量問題 / モーメント問題 |
Research Abstract |
本研究は,ボレル測度の空間上で定義された線形計画問題に対する双方向切除平面法の開発を初年度の主な目的としている。いわゆる容量問題が測度空間上の不等式制約条件つき最適化問題として定式化されるように,古典的なモーメント問題も測度空間上の等式制約条件つき最適化問題として一般化され,確率論のみならず経済学・制御理論などの分野に応用されている。本年度は,このような問題を含む測度空間上の等式および不等式制約条件つき最適化問題に対する実用的な算法として双方向切除平面法の開発を行った。一般に,切除平面法に限らず反復近似解法である緩和法は,各反復における目的関数値が単調非増加あるいは非減少であるなど,単調性を重要な特徴として持っている。本研究においては,制約条件だけでなく決定変数(測度)をも緩和する双方向の(このために必ずしも単調性を持たない)切除平面法について考察した。双方向切除平面法においては各反復において有限次元の緩和問題とその双対を同時に解く必要がある。通常の切除平面法においては必ずしも緩和問題の双対を解く必要がないことを考えれば,本手法は主双対切除平面法とでも呼ぶべきものである。本研究においては,まず簡単な仮定のもとで同手法の最適解への大域的収束を示し,各反復における(最適目的関数値との)誤差の上限を制約の侵害量を用いて評価した。すなわち有限回の反復で中断したとしても,その時点での暫定解の信頼性が定量的に評価できるという特徴を持つ。また,より実用的な実装を目指して,各反復における緩和問題の近似的な求解,緩和問題の低次元化等,局所的収束性の点においてもすぐれた算法への改良を行った。本年度の研究成果については,現在3編の論文を学術雑誌に投稿中あるいは投稿準備中である。
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Research Products
(1 results)