2011 Fiscal Year Annual Research Report
測度空間における最適化の理論と計算手法およびその応用に関する研究
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20540147
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Research Institution | The Institute of Statistical Mathematics |
Principal Investigator |
伊藤 聡 統計数理研究所, 数理・推論研究系, 教授 (50232442)
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Keywords | 測度空間における最適化 / 無限計画 / 半無限計画 / モーメント問題 / 確率分布の推定 / 通信路容量 / 離散分布 / ロバスト最適化 |
Research Abstract |
本研究の目的は、測度空間における最適化に基づく確率的あるいは非確率的な分布の推定の理論と計算手法の開発、および制御工学や統計科学に関わる諸問題への応用である。最終年度となる本年度は、一般の非線形凸形式に関する理論およびその応用に重点をおいている。 情報理論において雑音のある通信路の容量を求める問題は測度空間上の非線形凸計画問題の一例である。通信路容量とは通信路において単位時間に送ることができる情報量の上限であり、具体的には確率測度として表現される入力分布と通信路自体により定義された相互情報量を適当な制約のもとで入力分布に関して最大化することによって得られる。多くの場合にこの通信路容量を達成する入力分布が有限個の点からなる離散分布となることが報告されている。しかしながら、既存の研究は専ら複素関数論に基づいているため一入力一出力系すなわちスカラ通信路にしか適用できない。 本研究においては、ピークパワー制約がある場合すなわち確率測度がコンパクト空間上で定義される場合に、通信路容量を達成する分布が離散分布となる理由を測度空間における最適化の観点から明らかにし、この結果が通信路によらず成立することを示した。これは、非線形の無限計画問題であっても、適当な条件の下で、局所的には線形の半無限計画問題と等価になり得るということに基づいている。複素関数論に基づかないため、この結果は多入力多出力系すなわちベクトル通信路に対しても自然に拡張できることに注意されたい。 その他、ロバスト最適化や最適制御への応用について考察した。
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Research Products
(6 results)