2008 Fiscal Year Annual Research Report
双曲型方程式の超局所構造の解析とコーシー問題が適切となる双曲型方程式の特徴付け
Project/Area Number |
20540155
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Research Institution | University of Tsukuba |
Principal Investigator |
若林 誠一郎 University of Tsukuba, 大学院・数理物質科学研究科, 教授 (10015894)
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Keywords | 双曲型作用素 / コーシー問題 / 半代数函数 / C∞適切性 |
Research Abstract |
平成20年度は、主要部の係数が時間変数のみに依存する2階双曲型方程式に対して、そのコーシー問題のC∞適切性の特徴付けについて研究し、以下の結果を得た。 (1) コーシー問題がC∞適切になるための十分条件を得た(空間次元に制限を置いていない)。但し低階も時間変数に依存しないことを仮定する必要があった。 (2) 係数が実解析的で空間次元が2の場合に(時間・空間あわせて3次元)、C∞適切であるための必要条件を得た。特に係数が時間変数に依存せず、空間次元が2の場合は(1)と併せて、必要十分条件を得たことになる。 (3) 係数が半代数函数の場合。既に得られているPuiseux級数を用いて表現されている必要条件を適用するために、Tarski-Seidenbergの定理を用いる必要があるが、そのために、半代数函数の基本的な性質等を研究した(得られた結果の一部は私のホームページにアップロードされている)。さらにこの結果を用いて、係数が半代数函数であるという仮定の下ではあるが、一般の空間次元の場合に、C∞適切であるための必要十分条件を得た。この結果により、一般次元の場合でも係数が実解析的である場合は、我々の得た条件が必要十分条件になっていることが予想される。 (4) (1)、(2)の結果を2重特性的な高階双曲型方程式に拡張することを考えて、いくつかの基本的な結果を得た。但し結果をきれいな形で与えることは今後の課題である。 (1)、(2)、(3)の結果は既に数学誌に投稿済みである。またセミナー及び研究会において、得られた結果について講演を行った。この結果は双曲型方程式の研究において、基本的な結果になるものと考えている。
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