Research Abstract |
偏微分方程式の振動理論を議論する上で重要な方程式は,半分線形楕円型方程式である.その理由は,Picone等式(Picone型不等式)を確立することにより,Sturm型比較定理及び振動定理が得られるからである.本年度は,従来取り扱われて来なかったところの,外力項を含む方程式に対して,Picone型不等式を確立することに成功し,かつ,その応用として半分線形楕円型方程式に対して振動結果を得ることが出来た.非線形項として,優線形項の場合と,優線形項と劣線形項を含む場合について,学術論文を二篇出版することが出来た(Journal of Mathematical Analysis and Applications,International Journal of Differential Equations).更に,関数変数を持つ非線形双曲型方程式に対して,2階関数微分不等式に帰着し,それを1階Riccati型微分不等式に変換して,振動定理を得ることが出来た(Applied Mathematics and Computationに掲載).また,優線形項と劣線形項を持つ場合に対して,今までの方程式を一般化した方程式を取り扱い,Picone型不等式を確立することに成功し,Sturm型比較定理と振動定理を得た(Toyama Mathematical Journalに掲載).研究集会「富山解析セミナー2010」において「Picone等式とSturm型比較定理」という題目で,従来の結果の総合報告という形で講演を行った.平成23年度に繰り越しが認められたが,従来のp-Laplacianをp(x)-Laplacianに拡張した変動指数の場合について,Riccati方法を用いる研究が格段に進展した.これは,今後の研究に大きな基礎を与えることは確実である.
|