2009 Fiscal Year Annual Research Report
マルチンゲール理論が描き出すBanach関数空間の構造
Project/Area Number |
20540160
|
Research Institution | University of Toyama |
Principal Investigator |
菊池 万里 University of Toyama, 大学院・理工学研究部, 准教授 (20204836)
|
Keywords | マルチングール / Banach関数空間 / 再配分(再配列)不変空間 / ノルム不等式 |
Research Abstract |
本研究の目的は、確率空間上のBanach関数空間の構造を、マルチングール理論を用いて解析すること、及び、Banach関数空間の理論のマルチングール理論への応用を研究することにある。 本年度は、ある種のDoob型不等式が成り立つBanach関数空間の構造、及び、マルチングールの最大平均振動のノルムと最大関数のノルムの間に、ある種の不等式が成り立つBanach関数空間の構造に関して、新たな研究成果を得ることができた。得られた研究成果は次の通りである。 1.Φを正の実軸上で定義されたΦ(0)=0であるような増加凸関数とし、マルチングールfに対して、その最大関数をMf、その概収束極限をf_∞で表すことにする。Φの増大度が多項式の増大度と同程度である場合、Φ(Mf)とΦ(f_∞)の間にDoob型の不等式が成り立つBanach関数空間の特徴付けを得ることができた。また、Φの増大度が大きすぎない、及び、小さすぎないそれぞれの場合に、類似のDoob型不等式が成り立つためにBanach関数空間が満たすべき十分条件を得ることができた。 2.XをBanach関数空間とする。マルチンケールfの最大関数Mfと最大平均振動θfのXにおけるそれぞれのノルムが、他方の定数倍以下になるための必要十分条件は、「Xが再配分不変であり、そのupper Boyd indexが1より小さくなることである」という新たな知見を得た。 上記の研究成果は、二編の論文にまとめ、現在投稿中である。上記研究成果1において、f_∞を二次変分Sfに置き換えたノルム不等式が成り立つBanach関数空間の特徴付けを得ることが本年度当初の目標であった。この研究は、現在進行中であるが、来年度も引き続きこの研究を続ける予定である。
|
Research Products
(1 results)