2011 Fiscal Year Annual Research Report
Project/Area Number |
20540162
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Research Institution | Kanazawa University |
Principal Investigator |
田村 博志 金沢大学, 機械工学系, 教授 (80188440)
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Keywords | 関数解析学 / 統計力学 / 確率場 / Bose-Einstein凝縮 |
Research Abstract |
現在の研究課題の下では、昨年度までに、ポテンシャルによって与えられる外場により閉じ込められたBosonガスの平均場理論の位置分布を与える確率場[RPF]を構成し、大数の法則、中心極限定理、そして大偏差原理などの観点から、Bose-Einstein凝縮[BEC]状態と非BEC状態の違いの特徴づけ等を行った。本年度は、観点を少し変えて、非等方的な容器に閉じ込められたBosonガスの位置分布を与える確率場を構成し、先行した研究によって調べられた等方的な場合との違いを明確化した。具体的には、直方体の1辺に対し他の2辺が指数関数的に長い擬似平面的な系(SLAB)と、2辺の長さがLで他の1辺がLの2乗である擬似直線的系(BEAM)でのBosonガスの構成粒子の位置分布を調べた。SLABでは非凝縮状態と通常(第1種)のBECの他に第3種のBEC状態が起こることが知られているが、本研究では構成粒子の位置分布を3つのスケールから調べることにより、各状態が互いに異なる特徴を持つことを明らかにした。ここで言う3つのスケールとは、微視的スケール(各々の粒子の位置分布を確率点過程によって調べる)と巨視的スケール(粒子の密度分布を長い辺を単位として確率場で調べる)及び、中間的スケール(粒子の密度分布を短い辺を単位として確率場で調べる)であり、巨視的及び中間的スケールにおいては、粒子の密度分布は確定的(non Random)なものとなった。一方、BEAMでは非凝縮状態の他に第2種BEC状態が起こることが知られているが、3つのスケールたおける粒子分布の解析から、これら2つの状態の定性的な性質の違いが得られた。特に、第2種BEC状態では、巨視的スケールにおける粒子密度分布に非自明な統計性(rando mess)が見出されたことは興味深い。
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