2010 Fiscal Year Annual Research Report
双曲型と分散型方程式に対する局所平滑化評価式の研究とその応用
Project/Area Number |
20540165
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Research Institution | Mie University |
Principal Investigator |
肥田野 久二男 三重大学, 教育学部, 准教授 (00285090)
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Keywords | 非線形波動方程式 / 最大存在時間 / 時間大域解 |
Research Abstract |
Chengbo Wang氏(Johns Hopkins大学),横山和義氏(北海道工業大学)と共同で,非線形項が一階の導関数の絶対値のp乗という形をもつ波動方程式の初期値問題に対する解の最大存在時間の評価に関する研究を行なった.1981年Johnsは,空間次元nの値が3でpの値が2のときには,非自明な古典解は時間大域的には存在しないことを示した. Mathematical Reviews誌において,Glasseyはnを2以上とするとき,1<p=<1+2/(n-1)のときは小さな初期値に対してすら非自明な解は時間大域的には存在せず,他方p>1+2/(n-1)のときは小さな初期値に対しては時間大域解の存在が示されるであろうと予想した. 1<p=<1+2/(n-1)のときの大域解の非存在に関しては,2001年にZhouにより結果が完成された.この論文の中で,Zhouは解の最大存在時間の上からの評価も得ており,その評価が最良であるかも問題になった.以上のような展開をふまえて、我々の問題は ・p>1+2/(n-1)のときに、小さな初期値を与えて時間大域解の一意存在を確立すること, ・1<p=<1+2/(n-1)のときに、小さな初期値に対する時間局所解の最大存在時間の下からの評価を得て,Zhouによる上からの評価の最適性を検証することの2点であった. 横山氏との共同研究とWang氏、横山氏との共同研究のなかで培われた,KSS型評価式の改良版に基づく方法を駆使して球対称な強解の枠組みで,上述の問題を解決することができた.
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Research Products
(2 results)