2008 Fiscal Year Annual Research Report
Project/Area Number |
20540166
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Research Institution | Osaka Kyoiku University |
Principal Investigator |
藤井 淳一 Osaka Kyoiku University, 教育学部, 教授 (60135770)
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Keywords | 作用素不等式 / 作用素平均 / 量子情報理論 / 情報幾何 |
Research Abstract |
今年度は中途採用であったので、以前から共通の問題を持ちながらメール等のやり取りでは解決しなかった共通の問題を抱えていた韓国の数学者Young OkKim氏(Swan大)に急遽来てもらい、短期共同研究を行った(平成21年1月13日から1月31日)。そのおかげで年度末の忙しい時期の短い期間ではあったが、問題を解決することができ、下記のKantorovich型作用素不等式の論文として結実させることができた。この共同研究の中で、Kim氏自身が抱えていた問題が解決できたことで、さらにいくつかの結果を出せる見通しをつけることができ、我々の研究グループとの共同研究としても、さらに発展的に研究を続けていける見通しが立った。 一方、この科研費で論文集出版をサポートした、11月20日から22日までに、本学の天王寺キャンパスで開かれた「作用素論・作用素環研究集会」では、さまざまな最先端の話題も知ることが出来たが、特に収穫があったのは、東北大の日合文雄氏との情報交換である。私自身、作用素平均・相対作用素エントロピーとのからみで興味を持ち続けていた、正作用素を多様体として考察したCorach-Porta-Rechtの幾何であるが、日合氏はDenes Petz(ブダペスト大)氏との共同研究で、彼らの幾何学を違った方向性で発展させたものを、リーマン計量を主体に考察した論文を仕上げ、その話を詳細に聞くことが出来た。私自身はCorachたちの方向と同様に、その上部構造としてのFinsler幾何学的構造に興味を持っていた。その後、メールでも何度かやり取りし、日本数学会の春季年会でも直接いろんな情報を頂きながら、ある程度の結果を得ることができ、見通しもたってきた。21年度はこれをまとめて発表するところからはじめたいと考えている。
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